このマニュアルはセラバンドを使って手軽に安全で効果的な運動を行っていただくために作成しました。
運動をされる方の年齢や体力、関節の動く範囲、昔の怪我や病気の影響を受けている場合など、個人差がありますので、マニュアルどおりに運動を行うことが困難な場合もあります。あくまでもマニュアルは参考として、運動は必ず『痛みの無い範囲』で無理なく行い、痛みなど異常がある場合には必ず医師や専門家にご相談ください。
【基本動作】
●セラバンドを使用した運動の効果は、それぞれの運動で動かす部位を意識し、ゆっくりと一定の速度で行うことにより得られます。
●心の中で 1・2・3・4と数えながらゆっくりと一定の速度でセラバンドを伸ばし、5・6・7・8 でゆっくりと運動の開始位置へ戻します。
●運動の開始位置からセラバンドを伸ばした位置まではゆっくり息を吐き、戻るときはゆっくり息を吸うように心がけ、呼吸を止めずに行うことが重要です。最初は少なめの回数で正しい呼吸を意識しながら行うようにします。
【運動の回数について】
●最初は1~2回、慣れてきたら2~3回というふうに少しずつ回数を増やしていくようにし、10回を目標に行います。
【セラバンドの色(強度)について】
●セラバンドは色別に8種の伸縮度があり目標に合わせて段階的に使い分けができます。
●上肢のエクササイズはレベルの低いセラバンドから始めましょう。1 ~ 2回が楽に感じるレベルが選定の目安となります。
●エクササイズを定期的に何度か行っていくと筋力が向上し、楽にその動作を行えるようになります。目標の回数が楽に感じるようになったら次の段階のセラバンドに変更します。
【セラバンドの握り方】
運動の開始位置でちょど良い長さになるように手のひらにかけ、更に一巻してから握ります。
握力の弱い方は、輪をつくって手首に通してから握ります。
【椅子に座って行うエクササイズの共通ポイント】
背もたれがあり、足が床に着く高さの椅子を使います。
※肘かけがある椅子では運動が行いにくいプログラムがあります。
■座位が安定している方
浅く腰掛け背筋を伸ばして身体がぶれないように運動を行うと、体幹の運動にもなります。
■座位が不安定な方
背もたれに背中をしっかりつけて、上体を安定させた状態で行いましょう。
【立って行うエクササイズの共通ポイント】
運動中に体の軸が一定に保てるように気をつけましょう。
【使用上の注意】
●この製品は天然ゴムラテックスを含んでいます。かゆみやショックなどのアレルギー性症状をまれに起こすことがありますので、そのような場合には、直ちに使用を中止し、医師に相談してください。
●使用する前に、セラバンドに破れや穴などの傷や消耗がないことを確認してください。
●セラバンドは消耗品です。薄い素材ほど消耗がはやいので、劣化したセラバンドは絶対に使用しないでください。
●運動中は周りに障害物がないことを確認してください。また、指輪や金属などの硬いものや突起物にセラバンドが触れないようにしてください。
●小さな亀裂でもセラバンドが切れることがあり危険です。
【保管上の注意】
●セラバンドの保管は直射日光の当たる場所や高温になる場所は避けてください。
●セラバンドを結んだまま保管することは避けてください。結び目でゴムが圧着されほどくときに破けることがあります。
座って行うエクササイズ
Ⓐ運動開始位置 Ⓑバンドを伸ばした位置
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【1】手の突き出し運動
①バンドを背中に回し、脇をしめ、肘を曲げた位置で握ります。
②両手を肩の高さで、前へ突き出します。
③ゆっくりと元の位置に戻します。【ポイント】
・背中のバンドは肩甲骨の下あたりにくるようにします。
・上体をできるだけ真直ぐに維持します。
・片手ずつのエクササイズ(パンチ運動)も可能です。 -
【2】 斜めパンチ運動
①バンドを背中に回し、脇をしめ、肘を曲げた位置で握ります。
②右手を左肩の前方に突き出します。ゆっくりと元の位置に戻します。
③左手を右肩の前方に突き出します。ゆっくりと元の位置に戻します。【ポイント】
・背中のバンドは肩甲骨の下あたりにくるようにします。
・頭の位置は一定に維持します。 -
【3】 腕を後ろに引く運動
①椅子に浅く腰掛けて、かかとは膝より後ろに引いておきます。
②バンドを膝下にかけ、背筋と肘を伸ばして体の横で握ります。
③肘を伸ばしたまま両手を後ろに引きます。
④ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・上体をできるだけ真直ぐに維持し、腕以外は動かさないようにしましょう。
・片手ずつの運動も可能です。 -
【4】ボート漕ぎ運動
①椅子に浅く腰掛けて、かかとは膝より後ろに引いておきます。
②バンドを膝下にかけ、背筋と肘を伸ばして膝の横で握ります。
③ボートを漕ぐように肘を曲げながら両手を体の横あたりまで引きます。
④ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・上体をできるだけ真直ぐに維持しましょう。
・片手ずつの運動も可能です。 -
【5】前から両手を上げる運動
①膝の裏にバンドを通して、肘を伸ばしておへその高さで握ります。
②肘を伸ばしたまま肩の高さまで引き上げます。
③ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・目線はまっすぐ前に維持したまま、上体が反らないようにします。
・片手ずつの運動も可能です。 -
【6】横から両手を上げる運動
①膝の裏にバンドを通して、肘を伸ばしておへその高さで握ります。
②両手をハの字に広げ、肘を伸ばしたまま肩の高さまで引き上げます。
③ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・目線はまっすぐ前に維持したまま、上体が反らないようにします。
・片手ずつの運動も可能です。 -
【7】肘曲げ運動
①膝の裏にバンドを通して、肘を軽く曲げ、手のひらを上にして太ももの上で握ります。
②手のひらを肩に近づけるように肘を曲げます。
③ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・上体をできるだけ真直ぐに維持しましょう。
・肩が痛くならない範囲で行いましょう。
・片手ずつの運動も可能です。 -
【8】お腹を縮める運動
①バンドを二つ折りにして太ももの上に置きます。
②太ももの外側でバンドを握ります。
③肘を伸ばしたまま、お辞儀をするよう押していきます。
④ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・腹筋を使う運動です。お腹を意識して行いましょう。
・おじぎをしたときの目線は自分のおへそをみるようにしましょう。 -
【9】足を開く運動
①バンドを膝近くの太ももに2回巻き、それぞれ両端を握り両方の太ももの上に置きます。
②片足は固定して、反対側の足を滑らせるように外に広げます。
③ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・体が前のめりになったり、反ったりしないようにしましょう。
・反対側も同じように運動します。 -
【10】ももを引き上げる運動
①バンドを膝近くの太ももに2回巻き、それぞれ両端を握り両方のももの上に置きます。
②運動する反対の膝に両手を置き、足が動かないよう固定します。
③運動する側のももを引き上げます。
④ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・体が前のめりになったり、反ったりしないようにしましょう。
・反対側も同じように運動します。 -
【11】膝を伸ばす運動
①バンドを両足首近くのすねに2回巻きます。
②バンドを椅子の高さで握り、そのまま椅子の座面をつかみます。
③片足は動かさず、反対側の膝を伸ばします。
④ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・上体をできるだけ真直ぐに維持しましょう。
・反対側も同じように運動します。 -
【12】膝を曲げる運動
①バンドを両足首近くのすねに2回巻きます。
②バンドを椅子の高さで握り、そのまま椅子の座面をつかみます。
③片足は動かさず、反対側の足を真後ろに滑らせるように引きます。
④ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・体が前のめりになったり、反ったりしないようにします。
・反対側も同じように運動します。
立って行うエクササイズ
Ⓐ運動開始位置 Ⓑバンドを伸ばした位置
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【1】膝を曲げる運動
①肘をのばして肩幅よりやや広めにバンドを握ります。
②胸を開くように両手を外側に開きます。
③ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・体が前のめりにならないようにしましょう。
・片手ずつの運動も可能です。 -
【2】手をあげる運動
①バンドの端を両足で踏みます。
②運動する側の肘を伸ばした状態で腰の高さでバンドを握ります。
③肘を伸ばしたまま手を上げます。
④ゆっくりと元の位置へ戻します。
⑤反対側も同様に行います。【ポイント】
・左右の肩は水平を保ったまま、体の軸がぶれないようにしましょう。
・手を上げる角度は、名前を呼ばれて「ハイ」と手を上げるとき自然な角度まででOKです。 -
【3】手を真上に上げる運動
①バンドの端を両足で踏みます。
②運動する側の体側で肘を深く曲げ、肩の高さでバンドを握ります。
③肘を伸ばしながら天井に向かって手を上げます。
④ゆっくりと元の位置へ戻します。
⑤反対側も同様に行います。【ポイント】
・左右の肩は水平を保ったまま、体の軸がぶれないようにしましょう。 -
【4】立ちしゃがみ運動
①軽く膝を曲げバンドの端を両足で踏みます。
②背中にバンドをまわして背負うようにし、胸の位置で両手でバンドを握ります。
③両手は胸の前で固定したまま、膝をゆっくり伸ばしていきます。
④ゆっくりと元の位置へ戻します。【ポイント】
・つま先は少し外側に向け、膝はつま先と同じ方向に向けます。
・膝が内側に向かないよう気をつけましょう。
・目線はまっすぐ前に維持したまま、下を向かないように気をつけましょう。