1章 1. バイオデックスシステム4の機能
「バイオデックス システム4」は現在4世代目となる多用途筋機能評価運動装置です。世界中で6,000台を超えるシステムが稼動しており、日本国内でも650台以上の実績を誇ります。これらの膨大な実績が生まれた背景には永年にわたり改良・改善を加えて生まれた本システムの独自の機能や特徴があります。まず現在のシステム4について主な利用目的や機能、特徴についてご紹介します。
1.システムの利用目的
研究や臨床、スポーツなど多様な目的に応じた利用方法が可能です。
1.若年者(小児)から高年齢までの筋機能の成長と加齢による筋機能低下の評価。
2.スポーツ愛好者からトップアスリートまでの競技別、ポジション別などの筋機能特性の評価。
3.神経、筋、骨、靭帯などの機能障害による筋機能の低下程度や回復過程の評価。
4.スポーツ傷害などからの筋機能回復過程やパフォーマンスとの関連性の評価。
5.各種トレーニングによる筋力維持・増強トレーニング効果の差異判定。
6.腰痛と体幹筋機能の相関評価。
7.日常生活動作(ADL)能力や各種作業と筋機能の相関評価。
8.評価のみならず各種筋力維持、回復、増強のエクササイズ用負荷装置としての利用。
9.フィードバックトレーニングの効果の評価
2.主な機能と特徴
システム4は下肢、上肢、体幹の各部の主要関節の各種運動方向の筋力評価が可能な多用途システムです。
A.下肢:股関節、膝関節、足関節
・股関節:伸展/屈曲(仰臥位)、外転/内転(側臥位)、外旋/内旋(座位)、伸展/屈曲(立位)、外転/内転(立位)
・膝関節:伸展/屈曲、下腿:外旋/内旋(下腿部)
・足関節:底屈/背屈、内返し/外返し
B.上肢:肩関節、肘関節、手関節
・肩関節:伸展/屈曲、外転/内転、外旋/内旋(中間位)、外旋/内旋(90度外転位)、対角運動(座位)、対角運動(立位)
・肘関節:伸展/屈曲 前腕:回内/回外
・手関節:背屈/掌屈、撓屈/尺屈
C.豊富なオプションによる高い拡張性
- バックアタッチメント
体幹の腹筋群/背筋群の筋力評価を行う専用アタッチメントです。
腰部の独立性が高い座位ポジションと足底部を着床したクローズドキネティックチェーンの状態である半臥位ポジションの2種類が選択可能なため、目的に応じたテストやエクササイズが可能です。
・体幹:伸展/屈曲(座位)、伸展/屈曲(半臥位)
- ACL用アタッチメント
ACL(前十字靭帯)損傷専用のアタッチメントです。膝伸展時の脛骨前方引き出しを軽減した状態でのより安全な評価やエクササイズに適用しています。
- ハムストリングアタッチメント
ハムストリングの障害や再受傷の低減と高い相関を有する2種類のテストプロトコルによる評価を実現しました。ハムストリングの伸張(ストレッチ状態)のポジショニングにてアイソメトリックの屈曲トルクをマルチアングルで計測する評価とコンセントリックとエキセントリックの屈曲ピークトルクの比率から評価を行います。競技復帰などの目安に利用可能な新たな評価ツールです。
- クローズドチェーンアタッチメント
直線的なクローズドキネティックチェーンにおける筋機能評価や運動が可能です。前方、上方、下方などの各種の方向への運動が行えます。またその可動域、速度、運動モードなど詳細な設定により幅広い運動が可能です。
・上肢:チェストプレス/プル(ロー)、ショルダープレス/プル(ラテラルレイズ)、
・肩甲帯:前突/後退、肩甲帯:挙上/下制(片側のみ)
・下肢:レッグプレス(片脚のみ)
- ワークシミュレーションアタッチメント
上肢、手首、手指による複合動作:各種のハンドルやグリップ、ドライバーなど各種の上肢の作業動作シミュレーションを行えます。車のハンドル操作、各種工具(ペンチ、スパナー、ホールドリル、ドライバー)の動作、更に前腕や手指による各種ノブやつまみによる回旋動作などが可能です。
アダプター種類
- マルチプルツールアダプタ
- 上肢用ハンドル(ステアリングホイール)
- リボルビングハンドル
- スクリュードライバー
- 球面グリップ
- レンチ
- 3点把持グリップ
- 精密ピンチ
- 回転用ピンチ
- 平行把持グリップ
- 小児用アタッチメント
上肢長や下腿長が大人よりも短い小児のための専用アタッチメントです。
肩関節(伸展/屈曲、外転/内転)用と膝関節(伸展/屈曲)用の2種類をご用意しています。
3.各種の運動モード、筋収縮形態での評価が可能
一般的に分類される各種の運動モードや筋収縮形態をほぼ全て制御可能です。これにより運動速度や負荷種別などの様々な条件下における評価やエクササイズが可能となります。個人の筋出力特性や運動能力、筋持久力などをさまざまなパラメータにより解析が可能です。
A運動モード:
・等尺性運動 (ISOMETIC)
・等速性(等運動性)運動 (ISOKINETIC)
・等張性運動 (ISOTONIC)
・他動運動 (PASSIVE MOVEMENT)
※他動運動は等速性制御となります。
B筋収縮形態:
・求心性(短縮性)収縮:コンセントリック(CONCENTIRIC)
・遠心性(伸張性)収縮:エキセントリック (ECCENTRIC)
※上記Aの運動モード毎に筋収縮形態が選択可能です。
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豊富なデータをもとに、多様な評価機能と快適な操作性を両立。
豊富な研究・臨床データをもとに開発。
世界中の幅広い対象者に利用されているので豊富なデータをもとに順次レベルアップ。より被験者に合ったやり方で多くの部位の評価ができます。
高性能ダイナモメータを採用。
最大角速度500deg/sec、最大トルク680Nmのワイドレンジを実現。フルスケールでの誤差が、トルク・速度で±1%以内、角度は1°以下です。
日本語で操作でき、抜群の操作性。
OSは「Windows 7(日本語版)」を採用。アプリケーションは完全日本語化されていて、扱いやすい操作環境です。
多様な情報をさまざまに解析可能。
トルク・関節角度・速度などの情報をリアルタイム表示し、時間軸による波形データ解析ができます。
得られた情報をもとにパワーや加速能力など多くのパラメータをデータ処理できるので研究に便利です。
外部機器へのアナログ出力(トルク、角度、角速度)機能を標準搭載。
タッチ入力機能により操作性が進化。
モニター画面に触れるだけのタッチ入力による操作を可能にしました。
操作をアシストする「ウィザードガイド」や「日本語ナレーション動画ヘルプ」も標準装備しました。
ポジショニングの設定、手順などを含むマニュアルDVDを標準装備しました。