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7. 痛みに対するアプローチ

痛みに対するリハビリテーションアプローチは,病期を念頭とした物理療法と運動療法に大別される.

(1)物理療法

1. 急性期

寒冷療法

Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation (TENS)

低出力レーザー

パルス超音波(非温熱)

2. 亜急性期~慢性期

温熱療法(ホットパック,マイクロウェーブなど)

TENS

超音波(温熱)

が一般的なアプローチとなる.しかし,エビデンスが明らかとなっていない治療法も少なくない.

近年の研究で,急性腰痛に対してホットパックの早期からの効果が認められるとの報告が増加しており,米国の診療ガイドラインでも推奨されている.また,運動器疾患の対象における慢性痛に対して,疼痛および循環の改善による筋弾性率改善の点で高電圧電気刺激(High Voltage Electrical Stimulation)の有用性も示され,スポーツ分野を中心として広く使用されはじめている.さらに,今後より詳細な研究で適応と禁忌を明確にしていく必要はあるが,圧力波治療(shock wave therapy)は難治性の肩関節痛や足底筋膜炎,スポーツによる痛みに対して効果的であるとことが,多くのランダム化比較試験やメタアナリシスで示されている.

(2)運動療法

従来から,安静は最小限に留めて活動を再開することが腰痛症者のQOLや復職に対して有効であるとの報告は数多い.近年では,運動が侵害刺激に対する痛覚の感受性の低下を誘起する「運動による疼痛抑制効果(exercise-induced hypoalgesia)」に関する報告で示されたように運動には痛みそのものを改善する効果もあることが明らかとなっている.

運動の種類は,ストレッチング,体操(療法),ウォーキングなど,患者にとっては負担度が軽度で出来るだけ継続性が高いものがよく,ADLへも汎化し易いと考えられているが,どの様な疾患に具体的にどの運動が効果的かということに関しては未だ統一見解には至っていない.

1. ストレッチング

ストレッチングは,大別して静的ストレッチング(static stretching)と動的ストレッチング(dynamic stretching)に二分される.詳細は成書に譲るが,最近の研究では施行後のリラクセーションが疼痛抑制やアンチエージングにも有効とされ,この効果を得るためには静的ストレッチングで30秒程度の伸張が推奨されている.より効果的な疼痛のコントロールのためには,静的ストレッチングから開始してDSへ漸増して行くことが重要となる.

2. 体操(療法)

疼痛コントロールのための体操は多岐に渡る.体操による疼痛コントロールにおける一番の問題はその継続性となる.定期的な身体機能の評価結果や検査データの説明による情報提供はもちろんのこと,特に高齢者における運動の継続では家族や周囲の同僚や友人のサポートもドロップアウト防止に有効とされる.

3. ウォーキング

ウォーキングは,従来から何時でも・何処でも・1人でも簡便に実施できるエクササイズとして,おもに代謝系疾患や高齢者の健康増進において強く推奨されてきた.最大歩行速度の40%と70%を3分ずつ繰り返し,12分,18分,24分と漸増して行くインターバル速歩は,従来は負荷が強過ぎて効果は理解できても実際の臨床場面などで実施することが厳しいと“敬遠”され気味であったが,近年の研究により疼痛予防だけでなく骨粗鬆症防止,フレイル予防,認知症予防など高齢者の健康増進に対してきわめて効果的であることが示されて再注目されている.一般的なエクササイズへの導入に当たっては,速歩と通常歩行の組み合わせとして1分ずつからでも構わないので徐々に延長して行くことが肝要である.また,頻度や継続時間に関する目標は,最低でも週3回以上,1回連続20-30分で1日1時間,12週以上の運動継続が効果的であるだけでなく,痛み体験によるネガティブな思考や破局的思考の強さが痛みに対する不安や恐怖感増大も防止する.さらに,不安や恐怖心の増加やうつ症状の悪化は,ADLの低下を引き起こして身体活動性が低下した結果,痛みも助長するといった悪循環に陥ることも指摘されるため,痛みに長期間曝さず,出来る限り早期から段階的に活動を再開することが有効となる.

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