お役立ち情報

筋電図の臨床応用 (1)表面筋電図の臨床応用

表面筋電図が用いられている分野

表面筋電図は医学的研究分野、リハビリテーションの臨床のほか、スポーツ科学や産業医学などの人間工学的分野で筋活動を観察するために広く用いられています(図1)。表面筋電図は侵襲がなく誰でも簡単に計測可能で、しかも実際の活動場面で個々の筋の活動を捉えることができる便利な方法です。筋の活動は感覚では捉えにくいため、筋電図を用いて観察することが研究・臨床の分野で重要となります。

表面筋電図の目的

各分野で表面筋電図を用いる目的は、筋肉全体の活動です。その筋活動を、図2に示すように①筋電図運動学(sEMG kinesiology)、筋活動評価(sEMG assessment)、筋電図バイオフィードバック治療(sEMG biofeedback therapy)に用いることが可能です。

1.筋電図運動学は、どの筋が、いつ、どのように、どれくらいの強度で活動するのかを知る学問で、このことにより運動治療の基礎となります。

2.筋活動評価は筋活動を、量的・時間的・周波数要素的に解析することにより、疾患や障害に認められる筋機能異常を評価することができます。

3.筋電図バイオフィードバック治療は筋活動を高める、あるいは抑制しながら、正常な筋活動のコントロールができるようトレーニングする治療です。特にリハビリテーション分野で用いられています。

表面筋電図による運動解析

運動を解析する場合、「どの視点での情報を知りたいのか」が重要となります(図3)。

運動学的、運動力学的、もしくは筋活動的情報であるのかです。いずれにしても詳細な解釈をしたいのであれば、さまざまな視点からのデータを複合的に計測し考察することがベストです。表面筋電図の場合も同様で、筋活動以外の生体情報を各種センサーにて同期し計測することで、理解しやすく、より有意義な情報を得ることができます(図4)。

筋電図による歩行解析例

歩行の筋電図を解析するにあたっての最も簡単な同期センサーはフットスイッチです。このセンサーを踵と母趾に設置することで、歩行を立脚相と遊脚相に区分することができます(図5)。
フットスイッチの信号をもとに解析したい区間(この場合は立脚相と遊脚相)にマーカーを挿入します。筋電図の生波形を整流またはRMS処理し、このマーカーをもとに平均振幅を求めます。図6の結果は立脚相と遊脚相に区分した7歩の振幅平均(赤線)と標準偏差(うすいピンクの領域)を示します。

(2)表面筋電図による筋活動の評価

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